都心の喧騒から離れた、静かな大学キャンパス。その一角にひっそりと存在する、医学部の解剖実習棟。そこで出会ったのは、仮面を被った謎の男だった。
「初めまして、あなたが新人の死体洗いのアルバイトか?」彼の声は、マスク越しにも冷たく響いた。私がただ頷くと、彼は手元の資料を確認し、「さっそくだが、仕事を始めるぞ」と言った。
まずは、ホルマリンのプールへ。その場所は、密封された大きな部屋の中にあった。彼は、プールに浮かんでいる遺体を見て、何も言わずに働き始めた。
「洗い方は、これを見て覚えろ。」彼が差し出したのは、ノートに詳細な作業手順が書かれているものだった。そこには、献体の洗浄から保存まで、詳細な手順が書かれていた。私は驚きを隠せなかった。しかし、彼はただ黙々と仕事を続けていた。
彼の作業は手際よく、まるで機械のようだった。彼が遺体を洗浄し、固定液に漬ける作業を見ていると、彼がいつの間にかこの作業に慣れ親しんでいたことが伺えた。
「あれ?ここ、何かおかしいぞ……」彼が突然、固定液に浸かっていた遺体を指さした。その遺体の一部が、何か異様に見えた。私は、彼の言葉に驚きながらも、その遺体を見つめていた。
「これは……」彼が驚きの声を上げた。その遺体の一部には、何か見慣れない物体が埋め込まれていた。
「これは、ベトナム戦争時代の遺体か?この遺体には、何か秘密があるのかもしれない……」彼は遺体を見つめながら、独り言のように呟いた。
そして、彼は遺体の洗浄作業を再開し、その異様な部分を特に丁寧に洗浄した。
…
「見てみろ、これは…」彼は、遺体から取り出した物体を持ち上げた。それは、鉛のように重く、奇妙な形状をしていた。何かのメッセージか、または記録か、それとも何かの暗号か。私たちはその物体を見つめて、無言で考え込んだ。
彼は遺体を再び固定液に沈め、私たちはホルマリンのプールから出て、その物体を詳しく調べるために、彼の仮設研究室へ向かった。
彼の研究室は、奇妙な道具と書籍で溢れていた。壁一面には、過去に取り出したと思われる遺体の研究ノートが並んでいた。彼は、その中から1つのノートを取り出し、物体の形状を書き留め始めた。
「これは何だろう。ベトナム戦争時代の何かだとは思うが…」彼は、メモを取りながら考え込んでいた。そして、突然彼は立ち上がり、一つの書籍を手に取った。
「これだ!」彼の声が研究室に響き渡った。その書籍は、ベトナム戦争時代の兵士たちが使用した装置について書かれたものだった。
「これは、兵士たちが情報を秘密裏にやりとりするための装置だ。遺体の中にこれがあるとは…」彼は、その装置を詳しく調べるために、さらに深く研究を進めることを決意した。
私たちは、その装置を解析するために、彼の仮設手術室へと向かった。そこには、手術用の道具がずらりと並んでいた。
彼は、手際よく装置を解体し始めた。その中から、何かの情報が記録されていると思われるマイクロチップが見つかった。
「これは…」彼は、そのマイクロチップを手に取り、コンピュータに接続した。その瞬間、画面には、何かの暗号が表示された。
…
「これを解読するには、専門家の助けが必要だろう…」彼は、コンピュータ画面に映る暗号を見つめながら、深く考え込んだ。しかし、その一方で彼は、この情報を外部に漏らすことの危険性を理解していた。それでも彼は、この遺体が持つ秘密を解き明かすことを決意していた。
彼が選んだのは、昔からの知り合いで、信頼する暗号解読の専門家だった。彼はその専門家に連絡を取り、状況を説明した。そして、専門家は私たちの元へと向かうことになった。
数時間後、専門家が到着した。彼の名前はカズオ。彼は長年、政府の機密情報を扱う仕事をしていた。彼は、暗号を見るなり、「これは古い暗号だ。でも、解読するのは難しくない」と言った。
私たちは、彼の解読作業を見守った。彼は一生懸命に暗号を解読し、その結果、何時間もの時間が過ぎた。その間、私たちは彼の作業を見守るだけだった。
そして、ついに彼は、「解読できた」と言った。その暗号は、ベトナム戦争時代の一兵士からのメッセージだった。そのメッセージには、「秘密の実験」という言葉が何度も出てきた。
「これは、当時行われていた秘密の実験に関するものだ。その兵士は、何かを見つけ、それを記録したのだろう。そして、それを保護するために、自分の体に埋め込んだのだろう…」カズオは、その暗号を解読し、その結果を私たちに伝えた。
「でも、その実験の内容は、このメッセージからは分からない。それについては、更に調査が必要だろう」とカズオは言った。そして、彼は私たちに、その調査を任せ、研究室を後にした。
私たちは、その暗号を解読し、新たな謎を発見した。その遺体が持つ秘密を追い求めるために、私たちは新たな調査を始めることを決意した。
…
それから数日間、私たちは遺体のさらなる調査を行った。暗号メッセージには具体的な実験内容は記されていなかったが、「秘密の実験」という言葉と、その兵士が何かを見つけたという情報だけで、我々は新たな仮説を立てた。
仮説とは、その兵士がベトナム戦争時代に行われていた秘密の実験に巻き込まれ、何か重要な証拠を隠すために、自分の体にそれを埋め込んだというものだった。
私たちはその仮説を基に、遺体の詳細な調査を再開した。遺体の各部位を丁寧に洗浄し、再び検討した。そして、遺体の一部に、他の部分とは異なる異常を見つけた。
それは、遺体の肋骨の部分に、極小の金属片が埋め込まれていたのだ。その金属片は、先のマイクロチップと同じ素材でできていた。そこで我々は、その金属片もまた何かのメッセージを含んでいるのではないかと考えた。
私たちはその金属片を取り出し、再度カズオに連絡を取った。彼はすぐに駆けつけ、その金属片を調査した。そして、その金属片には、さらに詳しい情報が記録されていることを発見した。
その情報によれば、その兵士は秘密の生物兵器の実験に関わっていたという。彼はその実験の証拠を隠蔽しようとしたが、それを阻止し、自分の体にそれを埋め込んで、後世に伝えることを決意したのだった。
つづく
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