アメリカの南西部にある、白い砂漠として有名な「ホワイトサンズ」。その広大な砂漠は、まるで別世界のような幻想的な景色が広がっている。しかし、その美しさと同時に、地元の人々の間で不気味な都市伝説が囁かれていた。
それは、何十年も前から語り継がれる、謎の消失にまつわる物語だ。
ある日、近くに住む若いカップルがホワイトサンズでピクニックを楽しんでいた。青空に広がる白い砂丘の景色に目を奪われ、二人は幸せなひと時を過ごしていた。しかし、昼下がりの陽射しに疲れた彼らは、一時休憩することにした。
カップルは、持っていた毛布を広げて砂の上に横になり、しばらく目を閉じた。その時、突然強風が吹き始め、彼らは目を覚ました。まわりの景色が見えなくなるほど激しい砂嵐が起こっていた。
慌てて立ち上がると、彼らは互いに手を繋ぎ、車に戻ろうと試みた。しかし、どれだけ歩いても砂嵐の中で迷い続け、車を見つけられなかった。不安に駆られた彼らは、助けを求めて叫び始めた。
やがて、砂嵐がおさまり、再び青空が広がるホワイトサンズに戻った。しかし、不思議なことに、カップルは姿を消していた。彼らの毛布やピクニックの荷物は、そのまま残されていたが、二人の姿はどこにもなかった。
その後、捜索隊が組織され、ヘリコプターや地上の人員が何日も彼らを探し続けたが、全く手がかりが見つからなかった。時間が経つにつれ、人々は彼らが砂嵐に巻き込まれてしまったのだろうと思い始めた。
…
カップルの謎の失踪事件が起こってから数年が過ぎた。その間にも、ホワイトサンズでは様々な観光客が訪れ、美しい景色を楽しんでいた。しかし、彼らの多くは地元の人々から、失踪事件についての警告を受けていた。
それでも、多くの人々は都市伝説として楽しむだけで、真剣に捉える者は少なかった。だが、ある日、再びホワイトサンズで謎の失踪事件が起こる。
今度は、親友同士の二人組が、キャンプを楽しむために砂漠にやって来た。彼らは昼間にハイキングを楽しんだ後、夜になってテントを張り、焚き火を囲んで楽しんでいた。
しかし、真夜中に突然大雨が降り始め、彼らは慌ててテントに避難した。そして、いつしか寝入ってしまった二人だが、翌朝にはどちらの姿もテントの中にはなかった。
彼らの所持品やキャンプ用具は、まるで消えたかのように綺麗に片付けられており、彼らの姿だけが消えていた。やがて、地元の人々は再び捜索を開始し、警察も動員されたが、彼らの行方は分からなかった。
これをきっかけに、ホワイトサンズの都市伝説はさらに広まり、多くの人々が恐怖を感じるようになった。地元の人々は、古くから語り継がれる「砂の精霊」と呼ばれる存在が、訪れる人々を連れ去っているのではないかと囁き始めた。
一方、研究者たちはこの現象を解明しようと、ホワイトサンズの地質や気象条件を調査し始めた。しかし、彼らもまた、失踪事件の原因を突き止めることはできなかった。
やがて、この謎の消失事件は全国的に報道され、ホワイトサンズは多くの冒険家や好奇心旺盛な者たちが訪れる場所となっていく。
…
数々の謎の消失事件が報道されるにつれ、ホワイトサンズにはさらに多くの人々が訪れるようになった。その中には、失踪事件の真相を追うジャーナリストや研究者たちも含まれていた。彼らは、砂漠の奥地や周辺の村々で情報収集を行い、失踪者たちの手がかりを求めた。
そしてある日、ある探検家がホワイトサンズの奥地で、奇妙な洞窟を発見した。その洞窟の中には、失踪したとされるカップルや友人たちが、全く歳をとっていない姿で眠っていた。彼らは、まるで時間が止まったかのように、何の変化もなく過ごしていた。
驚いた探検家は、すぐにこの発見を報告し、救助隊が組織された。失踪者たちは、全員無事に洞窟から救出され、目覚めると彼らは自分たちが失踪していたことに気づいた。
さらなる調査が進められる中で、研究者たちはこの洞窟が、ホワイトサンズの砂漠特有の地下水脈によって形成された特殊な空間であることを突き止めた。この空間は、砂漠の環境によって生じる独特の磁場の影響を受けており、時間の流れが通常とは異なっていた。
失踪者たちは、偶然その洞窟に迷い込んだ際、時間の流れが遅くなる現象に巻き込まれてしまったのだ。そして、彼らが無事救出されるまでの間、洞窟の中で時が止まったように過ごしていたのだった。
この発見により、ホワイトサンズの都市伝説はついに解明され、失踪事件は科学的な説明がなされた。しかし、地元の人々の間では、未だに砂の精霊が存在すると信じる者も多く、ホワイトサンズは幻想的で神秘的な場所として、多くの人々の心を捉え続けるのであった。
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