昔々、とある山間の村に、若い夫婦が暮らしていました。村は美しい自然に囲まれ、何不自由なく過ごしていたものの、村には古くから伝わる奇妙な言い伝えがありました。それは、「真夜中に電話が鳴ると、不幸が訪れる」というものでした。
ある夜、若い夫婦が寝静まった深夜に突然、電話のベルが鳴り響きました。夫が慌てて出ると、電話の向こうから男の声が聞こえました。「あなたの大事なものを奪い去るぞ」という脅迫めいた言葉を残し、電話は一方的に切れました。怖くなった夫が妻に話すと、妻は言い伝えを思い出し、身がすくみました。
夫婦は恐怖に震えながら、村の長老に相談しに行きました。長老は言い伝えを聞いたことがあると言い、神社に祈りを捧げることを勧めました。祈りが終わると、長老は夫婦に古いお守りを渡し、家に戻るように言いました。
夫婦は家に戻り、お守りを飾り、少し安心しましたが、その夜も電話が鳴りました。今度は、「あと二度電話が鳴ると、お前たちの運命が尽きる」と言われました。夫婦は言い伝えの真相を探ろうと決心し、翌日から村の調べを始めました。そして、その過程で忌まわしい過去が次々と明らかになり始めたのです…。
…
夫婦は村の古老や文献を調べるうちに、かつて村に暮らしていた男性についての記録を見つけました。彼の名前は、幸村と言い、村の人々からは恐れられていたという。幸村はかつて、村人から横暴な振る舞いや不正行為を行っていたことで、村人から疎まれていました。やがて彼は突然姿を消し、それ以降村での詳細は不明となっていました。
夫婦はさらに調べていくうちに、幸村が村を出た後、彼に深い恨みを抱く者たちによって、呪いの呪文を唱えられたことを知ります。その呪いは、村に不幸をもたらすもので、真夜中の脅迫電話は呪いの力で現れるものだとされていました。
呪いを解く方法を探す夫婦は、村の古い図書館で一冊の古い魔術の書を見つけました。その書には、呪いを解く方法が記されていましたが、それはとても困難な試練が待ち受けていることを示していました。しかし、どんな困難も乗り越える覚悟ができていた夫婦は、試練に挑む決意を固めました。
その夜、夫婦は試練に挑むための準備を整え、ふたたび真夜中の脅迫電話がかかってくるのを待ち構えました。そして、電話が鳴り、最後の警告が告げられると、夫婦は試練に挑むために、闇に包まれた森へと足を踏み入れるのでした…。
…
闇夜に包まれた森の中を進む夫婦は、次第に周りの音が消え、静寂が広がるのを感じました。やがて、ふたりは古い祠の前に辿り着きました。その祠は、かつて幸村が捧げられた呪いの言葉を封じ込めた場所であることを、夫婦は古い魔術の書から知っていました。
試練は始まりました。まず、夫婦は祠の前で呪文を唱え、続いて、細い糸を使って祠の周りを複雑な形で結びました。最後に、夫婦は互いの手を取り合い、幸村の怨念に立ち向かう決意を固めました。
すると、風が止み、闇が深まり、祠の中から幸村の怨念が現れました。彼は怒りに満ちた目で夫婦を見つめ、「お前たちに呪いをかける」と叫びました。しかし、夫婦は恐れることなく、お守りを高く掲げ、幸村の怨念に立ち向かいました。
その瞬間、祠の周りに張られた細い糸が光り輝き、幸村の怨念を捉え、封じ込めました。幸村の怨念は消え失せ、闇が晴れ、再び静寂が森に戻りました。
夫婦は呪いを解くことに成功し、村に戻りました。以降、村には真夜中の脅迫電話がなくなり、村人たちも安心して暮らせるようになりました。夫婦は勇気と愛で呪いに立ち向かったことで、村の英雄として語り継がれることとなりました。そして、村は再び平和で穏やかな日々を取り戻したのでした。
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