ある小さな村に、古い洋館がありました。その洋館には、かつて栄華を極めた旧家が住んでいましたが、いつしか廃墟と化していたのです。しかし、洋館の中には、不気味な肖像画が残されていました。
ある日、村の若者たちが洋館を探検しに行くことになりました。彼らはその洋館にまつわる怪談話を知っていたのですが、冒険心が抑えられず、遊び半分で足を踏み入れることにしました。夕暮れ時、5人の若者たちが洋館に到着しました。
洋館はさびれ果てており、薄気味悪い雰囲気が漂っていました。彼らは恐る恐る中に入り、室内を探検し始めました。しばらく進むと、彼らは大きな部屋にたどり着きました。その部屋の壁に、かつての主人が描かれた肖像画が飾られていました。
肖像画は、美しい女性が描かれており、その瞳はまるで生きているかのように見つめていました。しかし、その顔はどこか冷たさを感じるもので、見る者に不快感を与えました。その女性の名前は、リリアンと言いました。
村の怪談話によれば、リリアンは魔女の末裔だったとされており、その肖像画には呪いがかけられていたのです。リリアンの肖像画を見た者は、次第に狂気に取りつかれていくと言われていました。
その話を知っている若者たちの中で、一人の少年が勇敢にも肖像画をじっと見つめ続けることにしました。彼は怖い話が大好きで、リリアンの肖像画が本当に呪いを持っているか試すためにやってみたのです。
しかし、少年が肖像画を見つめること数分。彼の表情は次第に硬くなり、狂気に満ちた目で周りを見つめ始めました。他の若者たちは彼の様子に戸惑い、慌てて彼を引き離しました。そして、肖像画を隠すよう命じたのです。
…
その夜、若者たちは恐怖に駆られながらも洋館から無事に帰り着きました。しかし、肖像画を見つめた少年は、自分がどうなってしまったのか理解できず、憑かれたような様子で村を彷徨い始めました。
翌日、彼は家族や友人たちに激しい暴力を振るうようになり、村の者たちは彼を押さえつけることができませんでした。そのため、彼は一時的に閉じ込められることになりました。
彼の家族は彼がリリアンの肖像画に呪いをかけられたと考え、彼を救うために洋館へ戻ることを決意しました。彼らは村の古老たちから、肖像画を破壊することで呪いが解けるという話を聞いていたのです。
一行は勇気を奮い立たせ、再び洋館へと向かいました。部屋に戻ると、リリアンの肖像画は以前よりもさらに不気味な雰囲気を醸し出していました。彼らは、肖像画を壁から取り外し、破壊する方法を考えました。
村の古老から聞いた話では、肖像画の中のリリアンの心臓を刺すことで、呪いが解けると言われていました。彼らはリリアンの肖像画を床に置き、鋭利なナイフで心臓部分を突き刺しました。すると、肖像画から血のような液体が流れ出し、その液体が触れたところに焼けるような痛みが走りました。
しかし、彼らは恐怖に負けず、最後まで肖像画を破壊し続けました。とうとうリリアンの肖像画は破片となり、消え失せるように燃え尽きました。彼らはその場を後にし、急いで呪いにかかった少年の元へ戻りました。
…
村に戻った一行は、緊張に満ちた表情で呪いにかかった少年の部屋に入りました。少年は未だに憑かれたような様子で、部屋の隅に縛られていました。彼らは心配しながらも、肖像画の破壊によって呪いが解けることを信じて待ち続けました。
数時間が経ち、突如として少年の様子に変化が現れました。彼の狂気に満ちた目が徐々に静かな表情へと戻り、意識を取り戻したかのようでした。彼の家族は喜び、彼を抱きしめました。
少年は肖像画の破壊によって呪いが解けたことを理解し、深く感謝していました。彼の家族や村の者たちは、再び洋館に近づかないことを誓い合いました。
それからというもの、村ではリリアンの肖像画に関する話題がタブーとなりました。しかし、夜な夜な若者たちが集まり、洋館での出来事やリリアンの怪談話を囁いていました。
村の平和は戻り、少年も元気に過ごしていましたが、彼は決してリリアンの瞳に映った恐ろしい光景を忘れることはできませんでした。彼はその経験を教訓にし、村の者たちに呪われた肖像画の恐ろしさと、知られざる力を持つものに触れてはならないことを語り続けました。
それから数十年が過ぎ、洋館は完全に忘れ去られた遺跡と化しました。リリアンの肖像画は永遠に消え去り、呪いの影は二度と現れることはありませんでした。そして、村は平和に過ごすことができ、彼らの子孫もこの怪談話を語り継ぎ、肖像画の恐ろしさを風物詩として語り続けていくのでした。
こうして、呪われた肖像画は、遠い記憶の彼方へと消えていったのです。その恐ろしい力を持った肖像画は、もう二度と現れることはなく、村人たちは幸せに暮らすことができたのでした。
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