ある晩、友人のハルキから突然の連絡が入った。「おい、怖い話を聞いてくれるか?」驚いた私は、彼が都市伝説好きだということを思い出し、興味津々で話を聞くことにした。
ハルキが語り始めたのは、ある死者のSNSアカウントに関する不思議な話だった。そのアカウントは、2年前に交通事故で亡くなったという女性・美咲のもので、彼女の遺族がそのまま放置していたという。
美咲のアカウントは普通に見えたが、死後しばらくしてから、彼女の投稿が不規則に消えるという現象が起こり始めた。最初は友人たちもそれほど気にしていなかったが、やがて彼女の投稿が消えるタイミングに一定の法則があることに気づいた。
実は、消える投稿の日付は全て美咲が生前に予告した予定だった。たとえば、友人の誕生日に行う予定だったパーティーや、特別なイベントの日などである。その事実に気づいた友人たちは、恐怖に駆られるようになった。
そして、ある日、美咲のアカウントから新たな投稿が現れた。それは次のような内容だった。「あと7日で、私に関するすべての投稿が消えるよ。それが私の最期の願いだから。」この謎の投稿に友人たちは動揺し、何が起こっているのか理解できなかった。
この話を聞いた私も、不思議な現象に興味を抱いた。それで、ハルキと一緒にそのアカウントを見に行くことにした。そして、そのアカウントを見つけると、確かに美咲の投稿が消えていく様子を目の当たりにした。
美咲の最期の願いとは何だろうか?そして、なぜ彼女の投稿は消えるのだろうか?謎が深まるばかりであった。私たちは真相を解き明かすために、美咲の友人たちや家族に話を聞くことにした。
…
美咲の友人たちや家族に話を聞くことにした私たちは、まず彼女の親友・ナオミに連絡を取った。ナオミは美咲とは小学生の頃からの友達で、互いの秘密を共有する仲だった。ナオミは当初、美咲のSNSアカウントのことについて話すのをためらっていたが、私たちの真剣な態度に心打たれて、彼女が知っている事実を話してくれることになった。
実は美咲には、生前から他人には明かせない秘密があった。それは彼女が霊感が強く、幼い頃から亡くなった人たちの声が聞こえるというものだった。彼女はそれをナオミにだけ打ち明けていたが、他の友人たちには話していなかった。美咲は生前、自分の能力を使って亡くなった友人や家族の願いを叶えることができることを発見し、それを続けていたのだ。
美咲のSNSアカウントから消える投稿は、彼女が生前に亡くなった人たちの願いを叶えるために書いていたものだった。彼女はその能力を使って、彼らの魂が成仏できるよう手助けをしていた。美咲自身が亡くなった後も、彼女の霊は未だ成仏せず、自分が叶えられなかった願いを遂行しようとしていたのだ。
私たちが美咲の家族に話を聞くと、彼らもその秘密を知っていた。美咲の母親は、彼女が亡くなった後も霊として地球に留まっていることを感じており、彼女が成仏できない理由を悩んでいた。
美咲の最期の願いが何であるかを知るため、私たちは美咲の部屋を訪れることにした。部屋の中を調べていくと、美咲が生前に書いた日記が見つかった。その日記には彼女の願いが綴られていた。
…
彼女は自分が死んだことを受け入れることができず、この世に縋っていた。彼女の最後の願いは、彼女が亡くなったことを彼女自身が受け入れることだった。
私たちはナオミや美咲の家族と一緒に、美咲の最後の願いを叶える方法を考えた。最終的に、美咲の友人たちと家族が集まり、彼女の命日に追悼の会を開くことに決めた。その日、美咲の大切な思い出やエピソードを共有し、彼女の存在を讃えた。
追悼の会が終わると、美咲のSNSアカウントから新たな投稿が現れた。「ありがとう。私はやっと受け入れることができた。これで私も成仏できる。皆さんに感謝します。さようなら。」その投稿が現れた瞬間、美咲のアカウントから残っていた全ての投稿が消えた。
以降、美咲のアカウントは何も起こらず、彼女が成仏したことを感じることができた。美咲の友人たちや家族は彼女の霊が安らかになったことを喜び、彼女の記憶を大切にし続けた。
そして、私たちも美咲のアカウントに見せられた奇跡に感動し、都市伝説として語り継いでいくことになった。それは死者のSNSアカウントに隠された、一人の魂が成仏するための物語であり、それは今も私たちの心に深く刻まれている。
これが、死者のSNSアカウントにまつわる都市伝説の終わりである。美咲の物語は、私たちが大切な人たちの記憶を胸に生きていくことの大切さを教えてくれる。そして、時には不思議な力が働いて、愛する人たちを救ってくれることもあるのだと知ることができたのだった。
コメントを残す