「あの日から、私たちの生活は一変した。誰もが、夜になると背後を振り返るようになった。東京にあるあの地下鉄のことを、多くの人たちは『人食い地下鉄』と呼ぶようになったのだ。」
そう話すのは、私たちが集まったカフェで働く大学生の一人だった。彼女の名前は夏帆。私たちの話の舞台は、今から3年前の東京都内。
その頃、夏帆はまだ東京に来て日が浅い頃だった。ある日、彼女は友達と一緒に遅い時間に地下鉄に乗り込んだ。彼女たちは最後尾の車両に座り、おしゃべりをしていた。
ところが、その車両は突然動かなくなり、暗闇に包まれた。友達とパニックになりながらも、夏帆は冷静に行動し、スマホの明かりで周囲を確認することにした。
その時、夏帆は車両の床の下に何かがいることに気づいた。恐る恐る手を伸ばして、床下を触ってみると、手に血が付着していた。
友達たちはもう大声を上げていたが、夏帆は怖がりながらも動じなかった。何かをする必要があると感じた彼女は、スマホの電池が切れる前に助けを呼び出すことにした。
夏帆は懐中電灯のように、スマホの明かりを床下に当て続けながら、自分たちが乗っている列車の番号や位置情報をTwitterで投稿した。彼女は、警察や消防などの緊急機関にも連絡を取った。
しかし、やがて夏帆たちは、投稿や電話の返事が来ないことに気づいた。車両はまだ動かず、時間が経つにつれて、友達たちのパニックはさらに増していった。
その中で夏帆が気づいていたことは、車両の扉が無理やり開かれ、外から何かが入り込んできたことだった。夏帆たちは目の前に現れた、見たこともないような生物に驚愕した。それは巨大な口と尖った牙を持ち、触手のようなものを伸ばしていた。
夏帆たちは逃げ惑い、攻撃をかわしながらも必死に生き延びようとしたが、その恐ろしい生物には勝てず、友達たちは次々と捕食されていった。
夏帆は命からがら逃げ出し、外に出ることができたが、彼女の目の前に広がっていたのは、廃墟と化した東京の街だった。
何が起こったのか、夏帆はわからなかった。ただ、彼女は生き残った自分の命をかけて、人食い地下鉄を調査することに決めた。
夏帆は、警察に連絡を取っても、地下鉄に入り込んで調査することは許されなかった。彼女は一人で地下鉄に潜り込み、車両の中を探索した。
その時、彼女はある秘密を知ることになった。地下鉄は実は、ある極秘研究施設が建設されていた場所であり、人工的な生物が製造されていたのだ。
それらの生物が暴走し、人々を襲い始めたのが、人食い地下鉄事件の真相だった。
夏帆は、警察やメディアにこの事実を報告しようとしたが、それはなかなか受け入れられなかった。地下鉄会社は、事故を隠蔽し、事件を起こした車両を回収し、警察は捜査を進められず、結局事件は表面化することはなかった。
しかし、夏帆は事件の真相を世間に知らせるため、闘い続けた。彼女は新たな仲間を作り、人工生物に立ち向かい、東京の街を守るために戦い続けた。
そして、今でも人食い地下鉄が存在するかどうかはわからないが、東京に住む人々は、夜になると時に背後を振り帰りたくなる衝動にかられるという。
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