都市伝説「謎の電話」(第一部)
昔々、とある日本の小さな町で、謎の電話が鳴るという奇妙な話が広まっていました。その町は、かつて栄華を極めたものの、今は廃墟が多く残る場所でした。ある日、若いカップルが遊びに来たところ、謎の古い公衆電話が鳴り始めたのです。
当時は携帯電話が普及しており、公衆電話は滅多に使われなくなっていました。しかしこの町では、誰もが聞いたことがある「謎の電話」の話題で持ちきりでした。電話が鳴ると、その音がまるで古い日本の映画から抜け出したような、不気味な響きがあると言われていました。
カップルの男性は、好奇心に駆られ、受話器を取り上げてみることにしました。すると、電話の向こうから女性の声が聞こえました。「私の名前はサキ。あなたが今いるその場所から逃げて、二度と戻らないで。それがあなたのためだ」と言って、電話は切れました。
男性は驚きのあまり、彼女にその内容を伝えました。彼女は、古い町にまつわる噂を聞いていたので、怖がりました。しかし、彼は彼女を安心させようと、電話の内容を冗談だと言い聞かせました。そして二人は、恐怖心を振り払い、その場を後にしました。
その夜、男性が家で寝ていると、彼の携帯電話が鳴りました。見知らぬ番号からの着信でしたが、彼は出てみることにしました。すると、電話の向こうからはまたもやサキの声が聞こえてきました。「あなたは私の忠告に耳を貸さなかった。これから、奇妙な現象に悩まされることになるでしょう」と告げられました。
この出来事をきっかけに、若いカップルの周りでは不可解な現象が次々と起こり始めました。不可解な現象に悩まされ続ける若いカップルは、次第にそのストレスに耐えられなくなっていきました。彼らは周囲の人々に相談を試みましたが、誰も彼らの話を信じてくれませんでした。ある夜、カップルは互いに助けを求め合いながら、サキに関する情報を調べることにしました。
インターネットで検索を続けるうちに、彼らはその町に伝わる古い物語を見つけました。物語によれば、昔々、町に住む美しい女性がいました。彼女の名前はサキで、彼女はある事件に巻き込まれ、命を落としてしまったとされていました。その後、サキは町の人々に忠告をする幽霊として現れるようになったと言われていました。
カップルは、もしかしたら自分たちが体験している現象が、サキに関係しているのではないかと考えました。彼らはサキの霊に問いかけ、彼女が何を望んでいるのかを知るために、あの廃墟の町へと戻る決心をしました。
町に戻ったカップルは、最初に謎の電話が鳴った場所である公衆電話を訪れました。すると、彼らが近づくと同時に、電話が鳴り始めました。男性が受話器を取ると、サキの声が聞こえました。「ありがとう。私はただ、あなたたちに、私が死んだ真相を知ってほしかったのです」と言いました。
サキは、自分が死んだ場所にある井戸を訪れるように告げました。彼女は井戸に投げ込まれ、そこで命を落としたのだと言いました。カップルは恐る恐る井戸を探し出し、その場所にたどり着きました。
カップルが井戸の前に立つと、彼らは不思議な感覚に襲われました。突如として風が吹き、その場に漂う空気が一変しました。彼らは井戸の中を覗き込む勇気を振り絞り、見つけたものに目を疑いました。井戸の中には、時が止まったかのように美しく残されたサキの遺体が、まるで眠っているかのように横たわっていました。
サキの霊は再び彼らに語りかけました。「私が死んだ理由は、この町に潜む邪悪な力によるものです。私はただ、人々に警告し、彼らを守りたかっただけなのです。あなたたちが私の真相を知ってくれたことで、私は安らかに眠ることができます。しかし、あなたたちもこの町からすぐに立ち去るべきです。」
カップルは、サキの言葉を信じ、その場を後にしました。彼らは町を出る前に、警察にサキの遺体がある井戸の場所を伝えました。その後、サキの遺体は発見され、適切な埋葬が行われました。
カップルが町を離れた後、彼らの周りで起こっていた不可解な現象は次第に消え失せていきました。彼らはサキの霊に感謝し、その後の人生を幸せに過ごしました。一方、町ではサキの霊が現れることはなくなり、徐々に平穏が戻っていきました。
しかし、今でもあの廃墟の町を訪れる者がいると言われています。そして、時折、謎の電話が鳴り、サキの霊が現れると囁かれているのです。彼女は今も、訪れる者たちに警告をし続けているのでしょうか。それとも、彼女はただ、彼女自身の悲しい物語を語り続けているのでしょうか。
この「謎の電話」の都市伝説は、今もなお語り継がれています。しかし、真相は誰にもわからないまま、謎に包まれたままの存在として、時の狭間に忘れられつつあるのでした…
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