ひと昔前、ミャンマーのゴールデン・ロックには、ある石工が住んでいた。彼の名はアン。彼はその地で最も優れた石工として知られ、自身の手で造られた石彫刻は地元の人々から大いに賞賛された。
アンは世界一美しい彫刻を作ることを夢見ていた。彼の最大の希望は、ゴールデン・ロックを彫刻に変え、その美しさで世界中から人々を引きつけることだった。しかし、彼の夢は神々にとって大きすぎるとされ、この挑戦を許されることはなかった。
しかし、ある日、アンは山の頂上にある巨大な岩石、ゴールデン・ロックに向かって進み、その表面を細工し始めた。彼の石工道具は岩肌をゆっくりと削り、彫刻は少しずつ形を成していった。彼は疲れを知らず、昼夜問わず彫刻に打ち込んだ。
だがある夜、彼が石を削っている最中、突然、強い風が吹き、岩が揺れ始めた。アンは立ち止まり、恐怖に目を見開いた。ゴールデン・ロックがゆっくりと崖からずれ、地元の人々が住む村に向かって転がり始めたのだ。
アンは身を投げ出して岩を押し戻そうとしたが、その巨大な岩石は彼の力ではどうにもならない。彼は自分の無力さを悔い、神々に助けを求めた。
…
そこに現れたのは、地元の伝説で語られる神々の一人、ニャラトゥ。ニャラトゥはアンの涙を見て、彼の情熱と純粋な願いを理解した。しかし、神々のルールを無視したアンの挑戦に対する罰も必要だと彼は考えた。
ニャラトゥはアンに言った。「アン、お前の夢は大きすぎた。しかし、お前の純粋さと情熱には感銘を受けた。だからこそ、お前と村人たちを救う方法を教えよう。」
神はアンに、彼の彫刻道具をゴールデン・ロックの下に滑り込ませるように指示した。アンは疑問を抱きつつも、神の言葉に従い、彼の道具を岩の下に滑り込ませた。すると、岩はゆっくりと動きを止め、完全に静止した。アンは驚き、そして安堵の息をついた。
しかし、ニャラトゥはさらに言った。「アン、お前の罪は軽くない。だが、お前の情熱を評価し、罰を減らすことにした。これから、お前は毎日、太陽が沈むと同時にゴールデン・ロックの元に来て、この岩を守らねばならない。お前が岩を守っている限り、岩は動かず、村は守られるだろう。しかし、もし一日でも守りを怠れば、岩は再び動き、村は滅びるだろう。」
アンはその言葉を受け入れ、その日から毎日、夕暮れとともにゴールデン・ロックの元に足を運び、岩を見守ることになった。
…
それから何年もの間、アンは毎日夕暮れとともにゴールデン・ロックの元に来て、岩を見守り続けた。彼の忠実な行動により、村は安全に保たれ、村人たちは平穏な日々を送ることができた。
しかし、アンは歳を取り、ついには病に倒れてしまった。彼は寝床から動くことができず、夕暮れとともに岩を見守ることができなくなってしまった。村人たちは彼の代わりに岩を見守る者を見つけようとしたが、誰もその任務を引き受けることはできなかった。
太陽が沈み、夜が訪れると、岩は再び揺れ始めた。村人たちは恐怖に襲われ、神々に救いを求めた。その時、再びニャラトゥが現れ、アンの病床に立った。
ニャラトゥはアンに向かって言った。「アン、お前の忠誠と情熱に感銘を受けた。お前が岩を守る任務を全うし、罰を受け入れたことを評価する。だからこそ、新たな提案をする。お前の魂を永遠にゴールデン・ロックに宿し、岩そのものと一体化せよ。そうすれば、お前は岩を永遠に守ることができ、村も守られるだろう。」
アンは神の提案を受け入れ、その場で静かに息を引き取った。瞬く間に彼の魂はゴールデン・ロックに吸い込まれ、岩は再び静止した。それ以降、岩は一度も動くことなく、村は平和を保ち続けた。
それからゴールデン・ロックは、アンの魂が宿る場所として崇められるようになった。彼の情熱と純粋さを讃え、村人たちは毎日夕暮れとともに岩を訪れ、アンへの感謝を捧げ続けている。それが今日のゴールデン・ロックの伝説、そして都市伝説となったのである。
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